歯磨剤の効果－着色除去・う蝕予防について

　歯磨剤は歯垢が効果的に除去でき、かつ再付着が抑制できるという観点から、その有効性に肯定的な研究が多く存在しています。着色除去も歯磨剤に期待される効果のひとつであり、歯の美白効果をうたった歯磨剤も多数市販されています。

　外因性の着色は、N1タイプ、N2タイプ、N3タイプの３つに分けられます。歯の表面は唾液が作り出すペリクルという薄い膜で覆われており、このペリクルの表面にポリフェノールなどの食物由来の着色物質が吸着するのがN1タイプです。N2タイプは付着した有色物質が変色したもの、N3タイプは付着した無色物質が化学変化で発色するもので、メイラード反応などがこれに当たります。ニーズに応えるには、ただやみくもに汚れを除去するのではなく、着色のメカニズムを理解する必要があると考えます。

 

歯磨剤に配合されたフッ化物がう蝕予防に有効である

 

　フッ化物を配合した歯磨剤とフッ化物非配合の歯磨剤ではう蝕抑制率に約40％の差があることが報告されており、WHOとFDIの共同研究でも世界的に生じたう蝕減少の主要要因にフッ化物配合歯磨剤の普及が挙げられています。日本でも、世代が若くなるに従ってDMFT指数も低下していることが明らかになっており、フッ化合物配合歯磨剤の市場占有率の上昇が戦後生まれの世代のう蝕減少に関与していることが示唆されています。